#140【危機の3世紀】ローマ人の物語32 迷走する帝国 上 塩野七生 新潮文庫





この時代は、「3世紀の危機」と呼ばれる。
危機には、
1)克服できる危機
2)対応の追われるだけで終始せざるをえなかった危機
の2つがあるが、この時代の危機は、2)の方。

 危機に陥った理由は、歴史家によると次の5つが挙げられる。
1)帝国指導者層の質の劣化
2)蛮族の侵入激化
3)経済力の衰退
4)知識人階級の知力の減退
5)キリスト教の台頭

しかし、塩野七生に言わせると、政局の不安定であると言う。2世紀の皇帝は113年間6人+αだったが、3世紀は73年間で22人の皇帝がいた。

まるで日本の総理大臣のようである。

さて、3世紀になってから最初の皇帝はカラカラ。
前帝セヴェルスが、3個軍団増、給料増としたため、財政が悪化していた。
そのため、カラカラは属州民にローマ市民権を与え,税収を増やそうとした。
しかし、属州税を全廃したことで逆に財政悪化を早めた。
しかも、それまでは意志のある人に市民権を与えていたが、誰でも市民権を与えられたため、属州民は向上心、競争心を失い、市民権に付随する義務感も責任感も感じなくなった。

皇帝カラカラは、彼に不満のあった兵士に殺害される。

その次の皇帝マクリヌスもパルティアへの弱腰外交で殺害された。

その次の皇帝ヘラガバルス、さらにその次の皇帝アレクサンデル・セヴェルスも兵士に殺害されてしまう。
皇帝アレクサンデル・セヴェルスの時代に、パルティア王国が500年の歴史に幕を閉じ、ササン朝ペルシアが支配した。

ローマ帝国の皇帝に比べたら、日本の総理大臣は支持率が下がっても、
退陣を迫られるだけだから、平和なものだ。


* 目次 *
第一部 ローマ帝国・3世紀前半
 第一章 (紀元211年ー218年)
  皇帝カラカラ
  誰でもローマ市民!
  「既得権」と「取得権」
  「取得権」の「既得権」化による影響
  帝国防衛
  ローマのインフレ
  パルティア戦役
  機動部隊
  メソポタミアへ
  謀殺
  皇帝マクリヌス
  撤退
  シリアの女
  帝位奪還

 第二章 (紀元218年ー235年)
  皇帝ヘラガバルス
  皇帝アレクサンデル・セヴェルス
  法学者ウルビアヌス
  6年の平和
  忠臣失脚
  歴史家ディオ
  ササン朝ペルシア
  再興の旗印
  ペルシア戦役1 
  兵士たちのストライキ
  第一戦
  ゲルマン対策
  ライン河畔


<グッときたところ>
①外交。
「可能な限り少ない「ギブ」で可能な限り多く「テイク」をする技能」

→仕事での業務にも当てはまると思う。

②皇帝アレクサンドル・セヴェルス。
「この若者には、困難な事態への対処には不可欠な柔軟性と、
必要とあれば悪にさえもあえて手を染める決断力が欠けていた。
善良で責任感が強いだけでは、リーダーは務めきれないのである」

→利益となるのであれば、多少の悪も必要。

③リーダーに必要な説得力。
「人間の心理への深く鋭い洞察と、
自分の体験していないことまでも理解するのに
欠かせない想像力と感受性、
このうち一つでも欠ければ、かつては成功した例も、
失敗例になりうる」

→その上で適切な言葉の選択が必要。


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