#496【中国人】爆買い後、彼らはどこに向かうのか 中島恵 プレジデント社 2015年12月




小売に携わるものとして、たくさん買ってくれるお客さんはありがたい。

爆買いする中国人も、金払いの面からはそう。

ただし、集団で道を塞いでいたり、ガヤガヤやかましいのは迷惑。

そんな爆買いをする中国人について書かれたのが、本書。

中国についての取材歴が長い人が書いたものなので、なるほど~という点は多い。

しかし、ちょっと日本を賞賛しすぎでは?という点もあるが、そういう面もあるのだろうと思い読んだ。

改めて、確かに、と思ったのは、中国人団体客が集団で来て、みんなでやたら買い物をして、まわりからはやかましいと思われているが、バブル期の日本人も海外への団体旅行の際は、現地の人からはそんな感じで見られていた、という点。

あまり悪くは言えないな、と。

もうひとつ。
個人で何回も日本に来ている人たちは、日本人と同様に中国人団体客を覚めた目で(むしろ同じと思われるのを嫌だと)見ている、という点は、そうなのか、と思った。

十数億人もいる中国人を、皆同じくくりで見てはいけないと実感。

本書の内容は、下記の通り。
流行語大賞で経済用語部門で唯一ノミネートされた「爆買い」――。
日本の観光地から、新宿、銀座、梅田、なんば、名古屋栄、札幌、博多……といった商業都市に
中国人旅行者が殺到し、ドラッグストア、家電量販店、コンビニはもちろん、空港、高級ホテルから
ビジネスホテル、流行レストランまでその来客数はすさまじいものになっている。

「爆買い」効果で街の商店から一部上場企業までが恩恵を受けることになったが、
いったいこの「現象」はブームで終わるのか、それともここしばらくは続くのか?

中国取材29年のベテランジャーナリストの著者が、消費を享受する中国人から
「インバウンド消費」に湧く日本の関係者までを丁寧に取材し、「爆買後」いったいどうなるのか、
を予測すべく現場を歩いた。


以下、参考になった点。

(1) 日本製品
価格だけでなく、日本製品の品質のよさは中国人の間でも広く知れ渡っている。
精密機械や工業製品などについてもそうだが、中国人が最も日本のことを「うらやましい」と思うのは、日本の日用品の品質の高さと安全性だ。  
たとえばノートやボールペンなどの文房具、ストッキング、ティッシュペーパー、歯ブラシ、石鹸、紙おむつなどの品質の高さは世界的に見ても群を抜いている。


(2) 未来の中国
「多くの中国人は、日本は自分たちの未来の姿だと潜在的に感じているのではないでしょうか。
だからこそ豊かになってきた今、未来の中国、日本を自分たちの目で見に行くのだと思います。私はそれが〝日本を目指す本当の理由〟だと思っていますよ。


(3) クチコミ
「一般的に中間層以上の中国人は国営マスメディアの情報をうのみにしない傾向がありましたが、そんな彼らが信頼を寄せているのが家族や親戚、親しい友人など『身内』からの情報なのです」(同)  スマホの爆発的な普及で、クチコミがネット空間に移行した。


(4) おみやげ
中国人の場合、お土産は友人や仕事先との人間関係を今後どう構築していくか、というところにまで関係する重要な意味合いを持つ。  
おおげさにいえば、お土産は相手に対する自分の好意の証しだ。
「自分はこれほどあなたのことを思っている。その気持ちをこのお土産に込めました」というほど大切なアイテムなのである。
(中略)
自分の周りに頼りになる人が何人も必要であり、相手のメンツを立てることによって、その良好な関係をキープできる。
日本人には考えられないほど人間関係が濃厚なのも、こうした「人治社会」であるがゆえだ。
人間関係のために生きているといっても過言ではないほど、中国人にとって人と人の関係は重要だ。


(5) マナーとインフラ
日常生活のインフラの質は、そこで暮らす人々に多大な影響を与える。
日本では「中国人はマナーが悪い」といわれるが、私の考えでは、マナーは社会を支えるインフラと重要な関係にあると思う。  
水道の水が出ないから、手を洗わない。
トイレのカギが壊れていてかからないから、カギをかけないで入る。
ゴミ箱がないから、道端にゴミを捨ててしまう。
よくないことではあるが、長年、そういう社会環境の下で暮らさざるを得なかったのが中国人だ。  
みんながルールを守らない国では、「自分さえよければいい」という考え方が勝ってしまい、それが習慣化されてしまう。


(6) 相手国への理解
トイレで順番を抜かす行為。これは世界中どこに行っても「正しくない行為」であることは間違いない。だが、第4章で書いたように、まだ社会システムが整っていない中国では、順番を待っていたら、いつまでたっても自分の順番が回ってこない。
さらに、文化大革命など国内の混乱や貧困が続き、他人のことまで考えられない時代が長かったといった背景がある。
だから彼らを許そうといっているのではない。
相手の国や国民が置かれている状況をまず理解することが大切だ、ということだ。
理屈抜きに無闇に怒り出したら逆効果で、相手は聞く耳を持ってくれない。  
いかにして素直に聞く耳を持ってもらい、正しい情報をきちんと伝えていくかが大切で、そこには「常識」の異なる相手に対する粘り強さや謙虚さ、リスペクトの気持ちもなければいけないと思う。




この記事へのコメント

この記事へのトラックバック